44歳からの陶芸家

陶芸家 高見澤匠のブログです

匠の道具 陶芸道具の作り方 〜 弓編 〜

f:id:idoholic:20191026035002j:plain

匠の道具 〜弓編〜

 

先日は広大なホームセンターに連れて行ってもらい大興奮!! 

encounter.hatenadiary.com

 

今週は早速その時購入した材料を使って、陶芸の自作道具を作ってみました。

 

今回の自作ツールは「弓」(粘土を針金で切る道具です)。僕の知る限りですが、既製品だとサイズがほぼ1種類で、張ってある針金が太い、そしてすぐに錆び倒す(笑)

 

この辺りが自分としては前々から気になっていたので、今回はその不満点を踏まえつつ自分の用途にかなった「弓」を作ってみました。

 

まずは既製品の弓↓いい感じに錆びております!

f:id:idoholic:20191026024003j:plain

 

先生に「弓を作りたいんですが」と言ったところ、「うんいいよ!じゃあコレに細い針金を張り替えなよ!」と言っていただいたのですが、前述した要件を満たしたかった僕は「ヤダヤダヤダッ!これじゃあ錆びるし大きいしピカピカしてないからヤダッ!売ってるものじゃないサイズが作りたいんです!」と駄々を発動(笑)

 

「じゃあどんな素材がいいの?」と言われたので「錆びにくいステンレスがベストですSUS304とか。。あ!真鍮とか銅もいいな!!(←錆びにくいのが要望なのに好きなビジュアルが浮かび早速日和るw)」

 

先生:「錆びにくいのがいいのに真鍮とか銅とかダメっしょ(笑)」「あと弓を張った部分に引っ張るテンションがかかるものじゃないといけないね!」

僕:「じゃあバネ鋼とかですかね。。ピカピカが。。。」

先生:「あ!いいのがあるよ!」

 

と色々苦笑いで相談にお付き合いくださり、ステンレスで錆びにくくバネ性があるという事で、車のワイパーの芯材で使われているものを出してくれました。*後で調べてみたところ”バーティブラ”という名称のパーツの様です。少し手で曲げてみたところ結構硬くバネ性(復元性)もあり良い感じ。

 

という事で、また前置きが長くなりましたが(汗)今回使用する材料と加工道具↓

f:id:idoholic:20191026031923j:plain


針金は既製品の弓に貼ってあるものより細い0.28mmのものを使用しました。

f:id:idoholic:20191026032155j:plain

 

まずは欲しいサイズに弓をカットし、針金を巻きつける溝をヤスリで作ります。

f:id:idoholic:20191026032612j:plain

 

その溝に針金を3巻きして、強く引っ張り反対側の溝にも3巻きします。ここでちゃんと針金が硬く張る様に強めに巻きつけます

f:id:idoholic:20191026033313j:plain

 

針金を巻き返しツルの部分にも3巻きして、針金が外れない様に巻きつけます。

f:id:idoholic:20191026033151j:plain

 

余った針金を切り落とし、針金の端部を危なくない様に内側に巻き込んだり、金槌などで叩きならします。

f:id:idoholic:20191026033840j:plain

 

完成です!!

f:id:idoholic:20191026034142j:plain

 

調子に乗りもう一回り小さいものも。

f:id:idoholic:20191026035239j:plain


3つ並べるとこの様なサイズ感。

f:id:idoholic:20191026035409j:plain

 

さっそく使用してみました。湿台(シッタ)に据える粘土を切ってみましたが、電動ろくろの回転や粘土に負ける事なく良い切れ味。

f:id:idoholic:20191026040357j:plain

 

既製品の弓だと当たり切れない裾の部分も

f:id:idoholic:20191026040738j:plain

 

こちらだと当たらずに切れます。

f:id:idoholic:20191026041009j:plain

 

弓の貼り加減も問題なかったのですが、もし硬い粘土を切る時などは↓この様に指で少しテンションをかけてやるとより粘土に負けずに切れそうです。

f:id:idoholic:20191026041449j:plain

f:id:idoholic:20191026041507j:plain

 

取っ手の接合部の切り出しもしてみましたが、既製サイズのものより切りやすかったです。

f:id:idoholic:20191026042231j:plain

 

小さなサイズの加工には小さな道具、大きなサイズの加工には大きな道具と。当たり前のことかもしれませんが、やはり適したサイズの道具が作業がやりやすいと感じました。

 

昔からある道具やプロの道具屋さんの道具はノウハウが詰まり、いざ自作しようと参考させて頂くと「なるほど!!」と思うことが多いのですが、とても細かく道具の種類が細分化されて揃っているジャンルと、そうではなく大味な分類しかないジャンルがある感じがします。

 

自分の用途に必要十分なものが既製品にある場合大半は、既製品で十分に考え抜かれている場合が多いので、無理に自作する必要もないと思いますが、一方既製品はある程度の平均値を押さえたものにならざるを得ないということを念頭に、必要だと思った場合は臆せず作っていこうと思います。

 

もしそうではなく、いつの間にか道具は既製品だけと頼り切ってしまうと、その既製品の道具に作品が知らず知らずに規定されてしまうのではないかと考えるからです。前述の通り、もちろんその既製品で思った形状が出来たり、ちゃんとコントロールして目的の形状を作り出せれば良いのですが、コテなどが良い例でいつの間にか既製品のコテの形状で作品の形状が決まってしまうのではなく、作りたい形に合わせてコテを作るという様な意識を常に持っておきたいと考えています。

 

ってあれ!?なんか書いてるうちにいつの間にかトーンが変わって、えらく真面目になっちゃったな、、なにこれブロガーズハイってやつでしょうかー!?

 

なんか後半やけに真面目になってしまいましたが、正直な比率は後半真面目な話60%、作りたい欲求20%、あと、、陶芸道具かっこ悪すぎるよ、、、が20%です。

 

「道具は道具だろ、道具に見てくれやカッコなんかつけるなよ!」とのご意見もあるかとも思いますが、そこは生まれた途端に名前に「匠」を冠された者の抑えられないサガとしてご理解いただければと思います(笑)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

↓「44歳からの陶芸家」ブログランキングでの順位の確認はこちらです↓


陶芸ランキング 

にほんブログ村 美術ブログ 陶芸へ
にほんブログ村

InstagramFacebookもよろしければフォロー宜しくお願いします

Instagramhttps://www.instagram.com/jam_master_t

Facebookhttp://facebook.com/idoholi